フレックスタイム制を導入する企業も徐々に増えているようです。
この機会にフレックスタイム制とはどのような働き方なのか?どんなメリットやデメリットがあるのか?子育てへの影響、などについて抑えておきましょう。
目次
フレックスタイム制とは?
フレックスタイム制とは、ワークライフバランスを充実させたい人にはぴったりな働き方です。
けれど、「何時間でも働いていい?」「残業はどうなる?」など、まだまだわかりにくいもの。今までの働き方とはまったくちがうので、ピンと来る人も少ないかもしれませんね。
ここで、フレックスタイム制はどのような制度かをくわしく見ていきましょう。
出社時間と帰社時間を自由に決められる
フレックスタイム制とは、出社時間と帰社時間を自分で決められる制度です。
会社と契約をするとき、1日、1週間、または1か月、合計の勤務時間数を決めます。
たとえば、法で定められた労働時間は週に40時間、休日は少なくとも週に1日。
1週間40時間働くことを契約したなら、月曜に8時間の勤務、火曜に4時間、水曜に6時間、木曜に11時間、金曜に8時間、土曜日に3時間。日曜は休み。
8+4+6+11+8+3=「40」
働いた合計の時間を守ってさえいれば、何時に出社・帰社しても大丈夫というものです。
さらに、今までは最大1か月で時間を調整するようにされていましたが、法の改正により、最大3か月で調整することができるようになりました。
3か月のあいだに決めた合計の労働時間数を守っていれば、「4月は子どものことで忙しいから短く」「5月は落ち着いているから多めに」など柔軟に対応でき、ワークライフバランスをとても充実させられます。
時間を過ぎたら残業代は?時間が足りていない場合は?
例では「木曜に11時間」となっていましたね。
法定労働時間では1日8時間、それ以上は残業扱いになると定められています。
けれど、フレックスタイム制をとっている場合は、契約した労働時間の合計を過ぎていなければ、残業となりません。
また、40時間を満たさずに働くと、そのぶんは早退や欠勤扱いとなるので、給与に影響します。フレックスタイム制は自己管理がとても重要となるでしょう。
フレックスタイム制とコアタイム
フレックスタイム制ありと書かれた求人を見ると、「コアタイム」を見ることも多いのではないでしょうか。
コアタイムは、「必ず会社にいて労働しなくてはいけない時間」のこと。
「フレックスタイム制あり、コアタイムは10時~14時」とされているなら、10時までには出勤しなければいけません。帰社の時間は、14時以降なら好きに設定できます。(ただし、契約した労働時間の合計数は満たすように)
コアタイムの時間に出勤していないと、早退・遅刻だと怒られるのでご注意を。
フレックスタイム制の普及率とメリット・デメリットについて
好きな時間に出社・帰社ができるフレックスタイム制。働く私たちにとって、デメリットなんてあるのだろうかと思ってしまいますね。
デメリットも、人によっては大きくなるのがフレックスタイム制です。
このフレックスタイム制のメリット・デメリットや、現在の普及率についてお知らせします。
フレックスタイム制のメリット
まず、フレックスタイム制のメリットやデメリットを見ていきましょう。
①仕事と私生活を両立させられる
資格の勉強をしたいとき、習い事に行きたいとき、フレックスタイム制なら我慢する必要がなくなります。
趣味や私生活が向上することで、ストレスをうまく発散させられるようになります。
仕事にもやる気がわいてきて、仕事と私生活、どちらも充実させることができるでしょう。
②体調にあわせて仕事ができる
今日はなんだか集中できないという日もありますよね。
または、とても疲れることをした翌日、「もう少し休んでから行きたい」と思うことはありませんか?
こういったとき、その日は早く帰宅したり、出勤時間を遅らせたりすることができます。
③通勤にかかる時間やストレスをへらせる
ほかの人とはちがう時間帯に出勤することができるので、通勤ラッシュを避けることができます。
電車やバス通勤なら、満員のときのストレスから解放されます。車なら、まったくすすまないストレスから解放されるほか、時間を短縮できます。
会社に入る前から疲れることがなくなるのは、大きなメリットですね。
④残業を命令されない
フレックスタイム制は出社・帰社の時間を労働者にゆだねる働き方。
基本、残業を求めるときは本人の同意が必須となり、残業の命令はできないとされています。
どうしても帰ってやりたいこと、やらなくてはいけないことがあったとき、残業を断ることができます。
⑤遅刻という概念がない
時間通りに動くことが苦手だったり、遅刻をよくしてしまうと悩むかたもいるでしょう。
フレックスタイム制は好きな時間に出社できるので、「遅刻」という概念がありません。
長年の悩みがひとつ解消されるかもしれませんね。
なお、コアタイムが設定されている場合、コアタイム中は遅刻・早退の扱いになるので、コアタイムがない求人を選びましょう。
フレックスタイム制のデメリット
①自己管理が大変
フレックスタイム制は、定められた労働時間を満たすように働かなければいけません。
法定労働時間の過不足がないように、自分で調整することはとてもむずかしいものです。
プライベートを優先しすぎたり、気分や体の調子で決めすぎると、計算に失敗してしまうことがあります。
そして、早退や欠勤扱いになって給与がへったり、人事の査定に響いてフレックスタイム制そのものを失うことも。
②コミュニケーションがとりづらい
ほかの社員と働く時間がズレるので、報連相がしづらくなります。
また、伝えもれがあったり、間違って伝わっているときもすぐに気づくことができません。
連携が求められる仕事では、うまくすすめられないでしょう。
フレックスタイム制の普及率
働く人にとってメリットがたくさん、デメリットも少なからずあるフレックスタイム制。
ぜひ導入してほしいと強く思う人もいるでしょう。
それでは、現在、フレックスタイム制の普及率はどのようになっているでしょうか。
企業全体で約5%
厚生労働省が公表している「平成31年度 就労条件総合調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/19/dl/gaiyou01.pdf
によると、平成31年1月時点、企業全体では5%という導入率でした。
つまり、約20社に1社あるということですね。
平成31年4月には、働き方改革として、フレックスタイム制の導入が積極的にすすめられています。令和におこなう調査では、導入率が上がる可能性もあるでしょう。
フレックスタイム制で子育てはやりやすくなる?
仕事と子育てを両立させるのはとても大変ですよね。
子どもが急に熱を出したから迎えに行かなきゃいけない。
学校の用事が平日にある。仕事を抜けるとき、申し訳なかったり、気まずく感じる。
このような困りごとは、「フレックスタイム制」が解決してくれるでしょう。
フレックスタイム制で実際に、どのような面で子育てしやすくなるのかをご説明します。
子どもの急な体調の変化に対応できる
子どもの体調は予測できないもの。朝、子どもが急に体調を悪くしたり、「熱を出した、ケガをした」といって幼稚園から電話がかかってくることもありますよね。
そして、遅刻や早退扱いになったり、半休や有休の申請など手間がかかったりします。
会社によっては、半休や有休としてとってもらえず、遅刻や早退となって、評価に影響することもあるでしょう。
また、休みを申請するとき、申し訳なさや気まずさを感じるのもつらいことです。
フレックスタイム制なら、遅刻や早退の扱いはなく、休みの申請も必要ありません。
なにも気にせず、早く、子どものもとへ向かうことができます。
混む時間帯をさけて病院に連れていける
17時以降になると、小児科は混みあうことが多いです。薬をもらうだけであっても、待ち時間がとても長くなってしまいますね。
子どもを早く治療をしてあげたい想いもありますが、家事に影響したり、忙しかったりするとなおさら余裕がありません。このようなとき、混まない時間帯を選んで子どもを病院へ連れていくことができます。
幼稚園や学校へ行く時間を合わせられる
子どもの準備を終わらせたり、幼稚園に連れていくとき、会社の出勤に間に合わないこともありますね。または、幼稚園などの始まりが遅く、いつもギリギリだという方もいるでしょう。
フレックスタイム制であれば、幼稚園の始まりの時間に合わせて、出勤できます。
朝の準備を急いですることもなく、ちゃんと子どもを見送ることができるでしょう。
学校の用事に参加できる
学校の用事は昼間や夕方によくありますね。そのなかには、必ず参加しなければいけないものもあります。
フレックスタイム制だと、別の日に多く働いて、学校の用事がある日は早く帰宅して参加することができます。早めに出勤して早めに帰ることもできるので、別の日に夜遅くまで仕事をしなくても大丈夫です。
「夜ご飯がつくれそうにない」「洗濯物がたまっている」ことなく、毎日の家事がしやすくなります。