知っておきたいしくみ

介護保険の自己負担割合と高額介護サービス費について

全国の市町村と税金で運営されている介護保険制度は、介護が必要な高齢者を金銭面からサポートするサービスです。

40歳からの加入が義務となっていて、健康保険料と共に介護保険料が徴収されています。

介護保険料率は、加入している健康保険組合によって変わります。また所得割は世帯ごとによって算出されるので、世帯ごとに違いはありますが、いずれにしても40歳以降は介護保険料を払い続けることになります。

その代わり、きちんと支払っていれば介護保険によって、介護サービスの自己負担額を抑えることができるのですね。

介護保険の自己負担割合の仕組みについて

従来の介護保険制度では、自己負担額は1割となっていました。1割であれば、同居家族が仕事をしている家庭であれば、介護サービスの負担はほとんどありません。

ですが高齢化社会にともない、介護サービスを利用する人がどんどん増加したことで、介護保険制度の自己負担額が2015年に改正されました。

これまでの1割負担から、規定の年収以上だと2割負担となったのです。

この規定年収は決して高額ではありませんから、低所得なのに1割から2割に引き上げられるだけでもかなりの負担増ですね。

しかし、平成30年の8月1日からはまた負担率が変わります。

平成29年に公布された、地域包括ケアシステム強化のための介護保険法等の一部を改正する法律では、利用者の負担の割合を介護費用の100分の30とするとなっています。

つまり今後は3割負担になる人も出てくるということです。

と言っても、一定以上の所得を有する人に適用されるものですから、すべての利用者の自己負担割合が上がるというわけではありません。

3割負担は年金や報酬を合わせた年収が一定の基準以上の単身者、年金収入のみでも規定の以上の収入がある単身者には適用されます。

ただし介護保険には支給限度額があるため、例え自己負担割合が1割であってもすべてのサービスを1割負担で受けられるわけではないので注意しましょう。

支給限度額は、介護認定による介護度によって変わります。介護度が重いとその分限度額が大きくなり、軽度であるほど小さくなります。

ただし自己負担の割合に介護度は関係なく年収を基準に決まる仕組みになっていますから、その点は混合しないようにしてください。

介護保険制度は3年ごとに見直されていて、今後も高齢者の増加によってどんどん変わっていくことが予想されます。そのため自己負担割合に関しても、正確な情報を得るには自治体に問い合わせをして確認するのがおすすめです。

高額介護サービス費とは?

介護保険の高額介護サービス費というのは、介護保険を使って支払いをした自己負担額の合計が、一定の額を超えるとその分が戻る制度です。

自己負担額の割合は所得によって変わるもので、一定の所得があれば自己負担割合は2割から3割、所得がない場合でも1割は支払います。

介護サービスはどんな内容であっても、決して安いものではありません。

介護の度合いは人によって違いますが、それでも家族がカバーしきれないため介護サービスを利用するのですから、その分費用の負担も大きくなります。

近年では介護費用のために借金をしたり、生活保護を受けないと生活できない方が増えていることが問題になっています。また中には借金もできず生活保護も受けられないので、介護サービスを利用できない家庭もあります。

このように介護サービスの費用が家計を圧迫している家庭を救ってくれるのが、高額介護サービス費という制度です。

ただし、高額介護サービス費は自己負担額の上限が決められています。そのため、自己負担した分すべてが戻ってくるわけではないので注意しましょう。

この上限は所得や課税状態などによって変わってくるので、自分がどの区分になるのか確認しておかなくてはいけません。

また、サービス内容によっては高額介護サービス費の対象にならないものもあります。

例えば介護保険施設で生活、もしくはショートステイをしている場合に払う、食費や居住費などの生活費は対象になりません。

そのため利用を検討している方は、自分が使っているサービスが対象かどうかも確認しておく必要があります。

そして、もう一つ大事なのが支給の申請です。高額介護サービス費は申請をしないと受けられないので、忘れずに申請してください。

支給条件を満たしている人が介護サービスを利用すると、3ヶ月ぐらいで申請書が送られてきます。この申請書に必要事項を記入して申請の手続きをしておかないと、サービスは受けられません。

また申請をするときには介護サービスの領収書も必要ですから、必ず取っておきましょう。

高額介護サービス費という制度は、あまり周知されていない制度なので、介護サービスの費用負担が大きかった方も多いのではないでしょうか。

ただ、この制度は支給条件や利用方法が複雑ですから、手軽に利用できないのが実情です。

ですから介護サービスを利用している方は、自分が条件に当てはまっているかなど、住んでいる地域の自治体に問い合わせをしてみるといいですね。

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