知っておきたいしくみ

遺産分割協議書の作成方法・書き方と代表的なパターンのひな形

遺産をどのように分割するのかについて、相続人間で話がまとまったら通常は遺産分割協議書として文書にまとめます。

この記事では、遺産分割協議書を作成する目的や作成方法についてまとめています。

遺産分割協議書の目的とは?

文書を作成しなくとも話し合い自体は有効ですが、以下のような理由で遺産分割協議書を作ることが必要となります。
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合意した内容を明確に

話し合いの段階では、各人が誤解や都合よく解釈をしていることが少なくありません。

そうなると後から「聞いていなかった」とか「騙された」などと主張する相続人が出てくることも考えられます。

文書にして確認することで、誤解は最小限に防げますし、各相続人が共通の認識に立って協議が行えますから、話をまとめやすくする上でも有効です。

後からのトラブルを防ぐ

遺産分割協議後に文書を作成しておかないと、後から「言った言わない」で争いになったり、各相続人の考えが変わって、それでまた揉め事に発展する事があります。

不動産などの名義変更手続きに必要

遺産の不動産は、最終的には名義変更を行わなければ他人に対して権利を主張するのが難しくなります。

名義変更を行うためには、遺産分割協議書を添付する必要があり、その際には相続人全員の署名と押印が必要になります。

いざ、名義変更を行おうと思ったら、当初の法定相続人が死亡していたり、行方不明になっている場合もあり、そうなると面倒なことになりがちです。

不動産だけでなく、普通自動車など他の手続きに関しましても遺産分割協議書は必要となります。

遺産分割協議書の作成方法

作成するタイミングに決まりはありませんが、各相続人の意見がまとまっているうちに早めに作っておくのが良いでしょう。

書式なども多く出回っていますが、一定のきまりに従って正確に作成しなければ、その後の手続に使えないことがあります。

その場合はまた相続人全員で作り直さないといけませんので余計な手間と時間がかかります。ですから、できる限り細心の注意を払って作成しましょう。

相続人全員が集まった場にあらかじめ作成しておいた文書を持参して、全員が署名・押印をするかたちで完成させる方法もありますが、一堂に会することが難しければ郵送によって持ち回りで署名・押印していくことも可能です。

尚、遺産分割協議書には相続人全員が実印を押印します。そして同時に全員の印鑑証明書を添付します。

この遺産分割協議書は各種手続にも添付する大事な書類ですから、紛失などしないよう大切に保管します。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の書き方については、厳密なルールはありません。縦書き・横書きどちらでもOKですし、ワープロで作成しても手書きで作成してもOKです。

ただし、法的な効力のあるものし、後日のトラブルを予防し、また相続手続きにも使用できる文書とするためには、以下の基本的なポイントはしっかりとおさえておく必要があります。

遺産分割協議書のひな形

以下に、代表的なパターンの遺産分割協議書の作成例を掲載します。

自宅の土地建物の遺産分割協議書ひな形

遺産分割協議書

最後の本籍  ○○県○○市○○町○○番地
最後の住所  ○○県○○市○○町○○番○○号
被相続人 (平成30年1月1日死亡)  山田 太郎

本   籍  ○○県○○市○○町○○番地
住   所  ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 花子 (昭和20年3月3日生)
本   籍  ○○県○○市○○町○○番地
住   所  ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 一郎 (昭和40年5月5日生)
本   籍  ○○県○○市○○町○○番地
住   所  ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 二郎 (昭和43年6月6日生)
本籍・住所  ○○県○○市○○区○○丁目○番○号
相続人  田中 道子 (昭和45年7月7日生)

上の共同相続人間において、遺産の分割について協議をした結果、下記のとおり決定した。

一.山田花子が取得する相続財産

1.土地 
所在    ○○市○○町
地番    ○○番
地目    宅地
地積    300.00㎡
 2.建物
所在    ○○市○○町○○番地
家屋番号  ○○市○○町町○○番
種類    居宅
構造    木造瓦葺2階建
床面積   200.00㎡

本決定を確認するため、上協議者は下に各自署名し押印する。

令和1年5月5日

上  山田 花子(自著) 印

上  山田 一郎(自著) 印

上  山田 二郎(自著) 印

上  田中 道子(自著) 印

不動産を共有する場合の遺産分割協議書ひな形

遺産分割協議書

最後の本籍 ○○県○○市○○町○○番地
最後の住所 ○○県○○市○○町○○番○○号
被相続人 (平成30年1月1日死亡)  山田 太郎

本   籍 ○○県○○市○○町○○番地
住   所 ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 花子 (昭和20年3月3日生)
本   籍 ○○県○○市○○町○○番地
住   所 ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 一郎 (昭和40年5月5日生)
本   籍 ○○県○○市○○町○○番地
住   所 ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 二郎 (昭和43年6月6日生)
本籍・住所 ○○県○○市○○区○○丁目○番○号
相続人  田中 道子 (昭和45年7月7日生)

上の共同相続人間において、遺産の分割について協議をした結果、下記のとおり決定した。

一.以下の遺産を相続人山田花子が2分の1、相続人山田一郎が2分の1の割合でそれぞれ共有取得する。

1.土地 
所在    ○○市○○町
地番    ○○番
地目    宅地
地積    300.00㎡
 2.建物
所在    ○○市○○町○○番地
家屋番号  ○○市○○町○○番
種類    居宅
構造    木造瓦葺2階建
床面積   200.00㎡

本決定を確認するため、上協議者は下に各自署名し押印する。

令和1年5月5日

上  山田 花子(自著) 印

上  山田 一郎(自著) 印

上  山田 二郎(自著) 印

上  田中 道子(自著) 印

現金・預貯金の遺産分割協議書ひな形

遺産分割協議書

最後の本籍 ○○県○○市○○町○○番地
最後の住所 ○○県○○市○○町○○番○○号
被相続人 (平成30年1月1日死亡)  山田 太郎

本   籍 ○○県○○市○○町○○番地
住   所 ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 花子 (昭和20年3月3日生)
本   籍 ○○県○○市○○町○○番地
住   所 ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 一郎 (昭和40年5月5日生)
本   籍 ○○県○○市○○町○○番地
住   所 ○○県○○市○○町○○番○○号
相続人  山田 二郎 (昭和43年6月6日生)
本籍・住所 ○○県○○市○○区○○丁目○番○号
相続人  田中 道子 (昭和45年7月7日生)

上の共同相続人間において、遺産の分割について協議をした結果、下記のとおり決定した。

一.山田花子が取得する相続財産

1・××銀行  ××支店 普通預金 #1111111 2,000,000円
2・××銀行  ××支店 定期預金 #2222222 3,500,000円
3.現金1,000,000円

本決定を確認するため、上協議者は下に各自署名し押印する。

令和1年5月5日

上  山田 花子(自著) 印

上  山田 一郎(自著) 印

上  山田 二郎(自著) 印

上  田中 道子(自著) 印

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