褥瘡は症状と痛みによって、ステージ1から4までの分類がされています。そして、ステージが進むほどに症状も重くなります。
ステージ1、ステージ1、ステージ3、ステージ4のそれぞれの症状や特徴、そして治療についてまとめました。
褥瘡のステージごとの症状や痛み
褥瘡では、症状が皮膚の深いところに達するほど重症とされます(深達度)。
褥瘡の深達度を分類するために、いくつかの分類方法がありますが、NPUAPというアメリカの専門機関が提唱するステージ分類が代表的なものとされてきました。
2009年には、NPUAPがヨーロッパの褥瘡専門機関EPUAPと共同でカテゴリ分類を発表し、国際的に使用されています。
ステージ1では皮膚の変色
カテゴリ/ステージ1は皮膚の損傷はないものの、骨突出部に消えない赤みが起こっている状態です。
周囲の皮膚とは色が違うというだけではなく、皮膚が過度に硬くなったり異常に柔らかくなったり、熱感や冷感を感じることがあります。また状態によっては疼痛を伴うこともあります。
ステージ2は皮膚の部分的な欠損や破裂
ステージ2では組織が壊死しているほどではないものの、真皮が部分的に欠損したり、破裂や水泡などが出来ている状態です。
この段階では潰瘍が浅いので、皮膚裂傷や皮膚炎、表皮乖離などの症状はありません。痛みもステージ1と同様で疼痛程度となります。
ステージ3は組織の欠損が生じる
ステージ3は皮膚の全層組織の欠損が起きます。骨や筋肉は出ていませんが、皮下脂肪は露出している部分があるという状態です。ただし褥瘡の深さに関しては、部位によって異なります。
例えば鼻や耳、後頭部のように皮下脂肪がない部分だと、褥瘡のステージ3であっても浅いと診断されます。
逆に脂肪層に厚みのある部位だと深い褥瘡が起こっている可能性があります。深さによって痛みの度合いも異なりますが、基本的に組織欠損の状態なので触れると強い痛みがあります。
ステージ4では骨や筋肉の露出
ステージ4も全組織の欠損状態ですが、こちらの場合は骨や筋肉まで露出した状態になります。
壊死組織が広がっているため、潰瘍の深さがどれぐらいなのか分からないことも少なくありません。そのため、筋肉や関節包、筋膜まで褥瘡が広がっていることもあるので、骨髄炎や骨炎に進行しやすいという性質があります。
この段階まで来ると痛みもかなり大きく、直接触れなくても常に痛みが起こります。
褥瘡はステージや個々の状態に応じた治療が必要
褥瘡の治療はステージごとによって違いますが、基本的には深さによって変わります。
浅い褥瘡の場合は、創面を保護しながら湿潤環境を保ち、皮膚の再生を促す治療を行います。
壊死が始まっている褥瘡は、壊死組織を除去し、肉芽の形成を促進します。同時に感染やポケット形成などが見られる時には、それに適した治療を行っていきます。
いずれにしても褥瘡の状態は人によってまったく違いますから、診察をした上で個々に合わせた治療を行うのが一般的です。
褥瘡は治療することも大事ですが、同時に悪化させないようにケアを行うことも重要になります。
悪化は介護のやり方で防ぐこともできますが、その場合は専門的な知識も必要です。ですので褥瘡の人を介護する場合は、医師の適切な治療を受けるとともに正しい知識とケア方法を学んでおくといいでしょう。
褥瘡の治療に使われるぬり薬
褥瘡のぬり薬には多くの種類があり、その役割も様々です。使用目的や症状に応じて使い分けがなされます。
発赤・紫斑や水疱が見られるような症状では、創面の保護が重要となるので、油脂性基剤の外用剤など保護効果の高いものが使用されます。
水疱が破れたり、びらんや浅い潰瘍が見られたら、創面保護効果の高い酸化亜鉛、ジメチルイソプロピルアズレンなどに加えて、上皮形成の促進を目的にアルプロスタジルアルファデクス、ブクラデシンナトリウム、リゾチーム塩酸塩などが使用されます。
滲出液が多いなら、滲出液の吸収作用があるカデキソマー・ヨウ素、ポビドンヨード・シュガーなどが用いられます。逆に滲出液の少ない時は、乳剤性基剤の軟膏が処方されます。
褥瘡に感染や炎症があるなら、感染制御作用のあるカデキソマー・ヨウ素、スルファジアン銀などが使用されます。
褥瘡の治療に使われるドレッシング
ドレッシング材は、傷を覆うための医療用の材料のことです。褥瘡の深さ・浸出液の量などを観察し、適切なドレッシング材を使い分けます。
適度な湿潤環境を保つことで、傷の治癒を早める効果があります。しかし、過度の湿潤は逆に治りを遅くします。