高齢者施設(老人ホーム)とひと口に言っても、目的や介護の必要な程度によって様々な種類のものがあります。
その違いをしっかりと理解していれば、施設探しも無駄が少なくなってピッタリの施設を早く見つけられることでしょう。
それでは、高齢者施設の種類と特徴を以下に一覧にまとめていきますので、ご参考にしてください。
目次
特別養護老人ホーム(特養)とは?
省略して「特養」とも呼ばれる特別養護老人ホームは、入所するための条件として以下のよう点があります。
- 常時介護を必要とし在宅生活が困難
- 年齢が65歳以上
- 原則要介護3以上
この条件から分かるように比較的重度の要介護者のための施設であり、範囲として「寝たきり」や「認知症」の方が含まれます。
自宅復帰を目指すというよりは、長期入所を前提としており、終身利用が可能です。
特養では入浴・排泄・食事の介助など日常生活のお世話や機能訓練・健康管理・療養上のケアなどのサービスが受けられます。
公的な施設なので民間の有料老人ホームと比較すると費用が安いという大きなメリットがあります。そのため希望者も多く、2~3年の入所待ちというケースもあります。
介護保険法では「介護老人福祉施設」という名称で呼ばれますが、一般には「特養」という呼び方のほうがよく知られています。
介護老人保健施設(老健)とは?

「老健」とも呼ばれる介護老人保健施設は、介護老人福祉施設(特養)とは異なり自宅復帰を目的として入所します。
入所期間は3ヶ月がめどとされており、自宅での日常生活が支障なく行えるようにリハビリに重点をおいた介護がなされます。
実際の用途としては、病院に入院していた方が治療を終えて自宅に戻るための準備のために入所したり、他の施設へ移るための準備を行う期間に一時的に入所するというような利用がされています。
介護老人保健施設(老健)の入居条件について
介護老人保健施設と特別養護老人ホームでは、入居条件に関して大きな違いがあります。
特養に入るには要介護3以上の認定を受けている必要があるのに対して、介護老人保健施設では、要介護1~5の認定を受けている原則65歳以上の人が対象となります。
また、その他の入居条件としては、リハビリテーションによる機能回復を目的とする人が対象となり、いずれは在宅復帰を目指すための施設と言えます。
ですから、長期間入居するための施設ではなく、大体は3~6か月程度の期間で退去することが前提となっています。
入居期間中はリハビリだけでなく、食事や排泄など介護サービスや生活援助を受けながら生活することになります。
入居期間には制限がありますが、例外的にリハビリがあまり進めなかったり、家族の在宅での受け入れ態勢が整わないなどの理由で、入居期間が長期になる方もおられます。
特養と老健の違いをまとめると?
特養(特別養護老人ホーム)と老健(介護老人保健施設)と違いをスッキリと表にまとめると以下のようになります。
特養 | 老健 | |
---|---|---|
目的 | 介護度の重い高齢者が介護や生活支援を受けながら居住する施設 | 自宅復帰を目的として短期間のリハビリを行う施設 |
入居条件 |
原則要介護3以上 |
要介護1以上 |
サービス内容 | 身体介護と食事や洗濯などの生活支援 | リハビリと医療面のケア |
設備 | 生活に必要となる居室や浴室、トイレ、食堂など | 生活施設に加えてリハビリ施設に重点がおかれる |
居室の最低面積 | 10.65㎡以上 | 8㎡以上 |
月額費用 | 8~13万円 | 9~20万円 |
入居期間 | 終身利用 | 原則3ヶ月 |
入居の難易度 | 順番待ちのケースが多く数ヵ月から1年以上先の場合も | 特養に比較して待ちが少なく入居しやすい |
グループホームとは?
グループホームは認知症の高齢者のための施設です。1ユニット5~9人という少人数での共同生活を行う住居で、介護員が食事・入浴などの介護や支援を行います。
ケアハウスとは?
ケアハウスは比較的介護の必要度が低い高齢者のための施設です。身の回りのことは一通り自分で行えるけども、ひとりで暮らすのは不安なところがあったり、家族の援助が受けられない事情がある方などに適しています。
介護が必要な場合は訪問介護サービスと併用するのが一般的です。ただし、常時介護が必要になると退去しなければならないことがあります。
有料老人ホームとは?
介護保険法ではなく、老人福祉法で規定される高齢者向けの居住施設で、介護保険法の認定を受けている施設とそうでない施設とがあります。
そのため違いが分からずに混乱しやすいところですが、サービス内容で区別すると以下の3つに分けられます。
介護付有料老人ホームとは?
介護保険の「特定施設入居者生活介護」の認定を受けている施設で、常駐する施設スタッフが食事・清掃・介護サービスまでを提供してくれます。
要介護1以上の人のみを対象とした「介護専用」型と、介護認定を受けていない人も入所できる「混合」型の2種類の施設があります。
住宅型有料老人ホームとは?
介護保険の「特定施設入居者生活介護」の認定を受けていない施設で、介護サービスは提供されませんが、食事サービスや緊急時の対応など生活支援サービスが提供されます。
介護サービスが必要な場合は、外部の介護事業者に依頼することが可能ですが、要介護度が重くなると実際問題として住み続けるのは困難になることがあります。その場合には、「特養」や「介護付有料老人ホーム」などに施設変更する必要があります。
健康型有料老人ホームとは?
健康な方で基本的には自立して生活できるものの、家事が面倒だったり、一人暮らしが不安な方のための施設です。食事や清掃などのサービスが提供されますが、介護が必要になった場合は退去しなければなりません。
サービス付き高齢者向け住宅とは?
高齢者向けにバリアフリーなどの配慮がされた集合住宅で、基本的は自立して生活できる方のための住居です。安否確認や生活相談などのサービスが提供され、少なくとも日中は介護の資格をもった専門スタッフが常駐します。
その他のサービス内容については事業者によって様々で、食事・清掃・洗濯などの生活支援サービスがついているところもあれば、介護サービスの提供まで含まれている場合もあり、逆に家事援助や介護サービスは提供されない場合もあります。ですから、サービス内容についてはよく確認しておく必要があります。