遺産相続の山場である遺産分割協議で失敗しないための上手なやり方や進め方について解説しています。
目次
遺産分割協議が難しい理由
遺産相続にとって遺産分割は山場であり、もっとも難しいところと言えるかもしれません。
相続人全員が力を合わせて乗り越えなければならないものであり、一人だけでいくら努力してもうまくいかないことも少なくありません。
逆にコレを乗り越えれば、あとは書類作成と提出の問題であり、比較的容易に進めることができます。
では、遺産分割のどんなところに難しさがあるのでしょうか?
大きく2つの問題があります。
それが進め方の問題と分け方の問題です。
遺産分割の進め方の問題
話し合いの成功は相続人同士のそれまでの関係や被相続人との関係、また相続人の家族との関係、そして相続人各人の願いや欲望、考え方や個性などにより大きく左右されます。
コミュニケーション能力が求められますし、それだけでなく交渉のスキルや話し合いの進行役としてのスキルも求められる場合があります。
遺産の分け方に関する問題
相続人同士の関係が良い場合でも、遺産をどのように分けたら良いのかという点についてはなかなか答えが出ないことがあります。
特に不動産に関してはそのことが当てはまります。
現金や保険金等に関しては価値や分割方法に関しても非常に分かりやすいものですが、不動産の場合には価値の判断が難しく、また分けにくい性質があります。
また不動産は客観的な評価だけでなく、人によっても価値判断は異なることがあります。関連記事:不動産の遺産相続を上手に進める3つのポイント
遺産分割協議を成功させるには?
遺産分割の難しさを乗り越えるためには、何が大切でしょうか?
まずは情報を集めることが必要です。
情報を集めることで、問題になりうる事柄を把握することができ、具体的な対策が立てられます。また選択肢が増えるので話し合いの決着もつきやすくなります。
特に成功や失敗に関する事例や体験談は参考になります。なので書籍を選ぶときには、そうした事例や体験談が豊富なものを選ぶと良いと思います。
あとは、経験豊富な専門家にアドバイスを求めることも役立ちます。
特に「経験豊富な」という点はとても大切です。
既に述べたとおり、遺産相続は単なる法律や手続きの問題ではなく、むしろ人間関係や人の心の問題が占める比重が大きいものです。
ですから、単に専門知識を持っているだけではなく、実際に数多くの遺産相続をみてきた専門家のアドバイスこそ価値があります。
関連記事:遺産相続で相談先の上手な見つけ方
さらに、話し合いを進めていくにあたっては、段階を踏むことと柔軟に対応することが大切です。
自分のやり方を無理に押し通そうとしてもうまくいかないのが、遺産分割の特徴です。
周りの様子を見ながら一歩一歩同意を得ながら、相手に合わせて方針を変更したり、交渉方法を変えたりすることが必要になってきます。
この際にも、やはり途中途中で経験豊かな専門家のアドバイスを受けて進めるなら大変役立ちます。
失敗するほとんどのケースでは、調停や裁判しか解決方法がない段階になって初めて専門家の門をたたきますが、その時点ではすでに人間関係は泥沼化していますので、解決までには膨大な時間と費用がかかります。
いずれにしても遺産分割は山場であり、それだけに難しい問題なので、決して安易に考えることなく十分の対策を行なってから臨むようにお勧めします。
遺産分割協議の進め方について
遺産を分割するには必ず相続人全員の同意が必要となります。
最終的には協議書を作成し、そこに相続人全員が署名と押印を目標とします。
原則として相続人が一堂に会して話し合いを行なうようになりますが、相続人が遠方に住んでいたり、なかなかスケジュールが合わない場合などは書面を持ち回りで協議を成立されることができます。
相続人が一人でも欠けて協議が成立したとしても無効になりますので、まずは戸籍を調べることで相続人を確定した上で協議を行なうのが大前提です。
話し合いの進め方は特にこれといった決まりはありませんが、相続人の代表者が進行役となって相続関係や遺産についての説明を行ない、その後各自の意見を聞くというかたちで行なうことができます。
あるいは、第三者に調整役を依頼して、その人が協議を司会するという場合もあります。
一度で話し合いが決着することは少なく、何度も話し合いを重ねる必要があります。
毎回合意した点を記録しておき、次回に話し合う内容についても明確にしておくと内容のある話し合いを行なうのに役立つかもしれません。
遺産分割協議書の作成について
遺産の分割方法について全員が合意すれば遺産分割協議書として書面にまとめ、共同相続人全員がそれに実印を押印します。同時に全員の印鑑証明書を添付します。
この遺産分割協議書は各種手続に添付する大事な書類ですから、紛失などしないよう大切に保管します。
この「遺産分割協議書」については、書式なども多く出回っていますが、一定のきまりに従って正確に作成しなければ、その後の手続に使えないことがあります。
もし記載方法に不備があった場合は再度相続人全員で作り直さないといけませんので余計な手間と時間がかかります。できる限り細心の注意を払って作成しましょう。
関連記事:遺産分割協議書の作成方法・書き方と代表的なパターンのひな形