本記事では、地方から東京へ移住した20代OLの実体験をもとに、なぜ地方から東京へ移住するに至ったのか、居住する場所の選定、引越し業者の選定、職探しなどから公的手続きに至るまでを実体験をもとに解説致します。
今や逆に東京から地方へ移住される方が増えていると聞きますが、それでも未だなお仕事の関係や様々な思いを抱き東京へ移住される方は多数いらっしゃいます。
そんな地方から東京へ移住した20代OLが実際に悩んだ事、困った事、成功談、失敗談交えながら、事前に知っておきたい最低限の知識や手続き、準備しておいた方がよい事などを物語に致します。ご参考にしていただければと思います。
目次
20代OLが地方から東京へノリで脱サラ移住した物語
退屈な日常生活
私は高校卒業後、日系の商社で貿易の仕事に就きました。
しかし、2年ほど貿易とは無関係の配属先で勤務していました。経緯を説明するとかなり長いのですが、本来の仕事とは程遠いことをしていて、簡単に言えば飽きました。
それに他にも出来ることがあるんじゃないかと思いだしました。
18歳で入社し、毎日慌ただしく社会の荒波に揉まれていた私ですが、若くても体に限界を覚えました。
繁忙期は月4回程度しか休みがなく、私は当時役職もあり、若い割に年上の部下も多く毎日色んな事と葛藤していました。
そんな忙しく悩む毎日で唯一の楽しみが旅行とアイドルの追っかけでした。
まず、旅行が大の趣味で18歳にして約15か国に渡航していました。毎回夏休みや冬休み、有給休暇を利用しては大好きな後進国へバックパックを持って旅立っていました。
最後に冬休みを利用して行ったカンボジアでなにか激震が走り、日本に帰国したら脱サラして首都東京に移住しようと思ったのです。
平凡な日常からの脱出
元々大の旅行好きで、まとまった休みさえあれば安い航空券を探してはバックパック片手に旅をしていました。ただの旅行が好きというわけでなく、もっと具体的に言うと、如何に経済的な方法で旅をするか考え、実行するのが私の趣味でした。
お得な航空券や乗り継ぎルートを検索してはシミュレーションをして楽しんでいました。いかに経済的に旅行するにはやはり会社員のように拘束されていると出来ることが限られてきます。
というよりほぼ不可能でした。
会社を辞める1カ月ほど前に冬のボーナスを使ってアジア周遊を計画していました。
一番の目的は学生時代から行きたかったカンボジアのアンコールワットです。ただ普通に飛行機を利用し、そのままアンコールワットのあるシェムリアップに行っても経済的ではないですし、なによりワクワクはしませんよね?
そこで私は以前も渡航し、お気に入りの国になったタイのバンコクを経由していく方法をとりました。バンコクからは飛行機を利用してシェムリアップに行くことももちろん可能ですし、一番簡単な方法になると思います。
しかし、それでは刺激が足りないので、以前からやってみたかったことの一つである 「陸で国境を超える」ことを実行することにしました。
事前に日本からタイのチケットメジャーというコンサートやバスチケットなどを取り扱うサイトでカンボジア行きのバスを検索していました。
サイトは英語も対応しているので、日本からネットでカンボジア行きのバスを予約しました。お値段も安くまさに経済的かつワクワクする旅で私のコンセプトにピッタリでした。
ほかにもタイを経由する理由としては、いつも私の旅行にお供してくれる相棒がタイに行ったことがなかったからです。私自身3回目のタイでしたが、人に紹介することによって、より一層タイについて調べますし、調べることによって前よりもタイという国をもっと好きになりました。そんな感じで私の冬季休みはタイのバンコクからスタートしました。
趣味のバックパック片手にカンボジアへ
バンコクからシェムリアップまではバスを利用し約7時間程度だったと思います。タイ側の国境で一旦バスから降ろされ、自身で出国の手続きをし、次はカンボジア入国の手続きです。バスの車内から薄々気づいてはいましたが、日本人の割合が非常に少なくほとんどが欧米人でした。使い慣れないアメリカドルとパスポートを片手になんとかビザも取得し入国できました。もうこの数時間はドキドキ、ワクワクが止まりませんでした。
なんとか当時20歳の女二人がバスで国境を越えて、待ちに待ったアンコールワットを見に行くことができました。朝日に照らされたアンコールワットはとても幻想的で美しく、当時の人々が建築する姿を想像すると自分はなんてちっぽけなんだと痛感しました。仕事で疲れて病んでいたのか、朝日を見ただけで涙がでました。
東京移住を決断
カンボジアではゆっくりとした日々が流れ、気づけば6日ほど経っていました。このとてもゆっくりとした数日間の間に、私の趣味の一つでもあるアイドルの話を相棒と沢山話しました。旅行中ということもあり、テンションの上がっていた私たちはアイドルの追っかけももっとしたいということから、東京に引っ越しをしようという話になりました。
元々、月に数回しかない休みを利用しては東京に遠征という名の追っかけをしていました。安月給のOLが多い月には3~4回程度新幹線や高速バスを利用して身分不相応な休日を過ごしていました。恋は盲目と同じで日本にいるときは冷静に物事を考える機会が少なかったのですが、ゆっくりと過ごせるカンボジアでは冷静に自分の行動について考えることができました。
安月給のOLが一カ月に遠征費という名の交通費に費やしていた金額はなんと約5万円でした。そこからライブや舞台のチケット代を入れると10万円を超えていました。そこで私たちは自由に旅行もしたいし、アイドルの追っかけもしたい。地方から遠征するよりも東京に住んだほうが安いと思いました。それに、若いうちにしか出来ないことだから今を精一杯に生きたいと思い、東京に移住することを決めました。旅行とアイドル>仕事という結果から脱サラをし、移住することに決めました。20歳という時間は今しかないけど、仕事は他にもあるという決断から帰国後退職届を提出しました。
東京移住にあたり悩んだ7つの事
退職届について
2年間勤め役職や地位を捨てて退職しました。
ちなみに、誰にも相談せず退職届を提出したと言いましたが、カンボジアの旅を終え香港を経由して帰国しました。香港には仲の良かった同僚が駐在していたので、当時の私の職務内容と現状を報告し、辞めると一言伝え挨拶だけ交わして帰国しました。
私は上司や同僚に何の相談もなく退職届を書き、退職希望日の1カ月前に潔く一身上の都合で退職届を提出しました。(退職届は各会社の就業規則によって提出のタイミングが異なります)
退職届を出した瞬間はとても気持ちよく、何かから解放されたように気分が良かったです。
皆さんご存知の通り退職時は退職届が必要です。(退職届についてはこちらhttps://pstr.jp/taisyunega/)
有給休暇を消費しながらの物件探し
無事に退職届を提出し、引継ぎ等を終えていざ物件探し。筆者は地方出身ではありますが政令指定都市出身なので東京の家賃や物価は想定範囲内でした。しかし、いくら想定範囲内でも20歳そこそこの私の貯金なんて大した金額ではありませんでした。有給休暇消費期間に無事物件も見つかり、契約し、初期費用を納めいざ東京へ…安心したのは束の間 このあと悲劇が…
(有給休暇の取得方法など詳しくはhttps://pstr.jp/yukyuu/)
物件探しについて
まず、安月給の元OLがお金を持っているわけがありません。
なので、物件の条件としては下記を優先に探していきました。
- ①都心へのアクセスよし
- ②都内近郊の各ライブ会場のアクセスのよさ
- ③家賃9万円以下(相棒とルームシェアなので割り勘)
- ④一人一部屋
- ⑤初期費用が安い
- ⑥都市ガス
- ⑦駅から徒歩15分以内
20代女子にしては比較的条件が少ないので、初期費用も安く気に入る物件がすぐにみつかりました。実際内見に行った時も想像していた通りで日当たりもよく、ここに決めようと思いました。
今現在も住み始めて3年目になりますが、あまり不満はないです。
決め手としては、家賃が良心的かつ駅からも近く、部屋の広さも十分だったからです。
家賃が安いのが一番の決め手かなと思います。退職後、物件や引っ越し業者探しも順調に進み、気づけば引っ越しも終え新生活スタート。
引っ越し業者の選定基準
もうこれは簡単です。価格です。何よりも安く済ましたかったので、見積もりをした中で最安値の業者にしました。聞いたことのない業者さんだったので少し不安もありましたが、実際電話見積もりをして担当してくださった方の対応が非常によく、値切りもできたので、何の迷いもなくそこの業者さんにお願いすることにしました。
あとは職探し‼離職票が届くのに少し時間が掛かるので新居で離職票が届くのを待ちながら職探しをしていました。その際並行してやっていたのが引っ越したら必要な転入や国民健康保険、国民年金の切り替えです。
職探しについて
私は元々働いていた会社での経験と役職もあったので、同じ業種の会社にとりあえず面接に行きました。引っ越しをして保険料の支払いなど出費の嵐でしたので、取り急ぎお金が欲しく、もし私が会社側の立場だとしたら経験のある人間を雇うと思ったので今の会社ならすぐ雇ってくれると思いました。案の定即採用となり働くことになったのですが、長く続ける気は一切なく、生活が安定したら辞める予定でした。しかし、職務内容が気にいらず辞めた以前の会社とは違い、なぜか未だに続けて働いています。
正社員からアルバイトという雇用形態に変わって気が楽になったのか、東京に来てやりたいことをやりたいだけやっているからでしょうか?
それにしても、アルバイトにも関わらず色んな仕事を任されたり、会社の宣伝となる仕事まで企画したり、東京は夢があるなと思うことがあります。
転入届とは
転入届とは引っ越しが済んだ日から14日以内に役所に本人または世帯主が届け出をしなくてはなりません。
転入届出に必要なもの
・住民移動届
・前住所地の転出証明書(引っ越す前に住んでいたところで転出する必要があります)
・通知カードまたはマイナンバーカード(個人番号カード)(所有者のみ)
・住民基本台帳カード(所有者のみ)
・在学証明書、教科書給与証明書(公立の小中学校に通学している場合)
・届出人の本人確認書類(運転免許証・パスポート等)
・外国人の方は、在留カードもしくは特別永住者証明書(または外国人登録証)を持参
・印鑑(他の手続きで必要になる場合があります)
※各市町村によって必要な書類が異なります。
社会保険から国民健康保険に切り替え
3 国民健康保険、国民年金、住民税…出費の嵐
日本では、全ての国民が公的医療保険に加入する必要があります。
社会保険の資格喪失の手続きは会社側が行います。退社日の翌日から国民健康保険料が自動的に発生するので速やかに役所に手続きに行きましょう。
会社から届いた社会保険の資格が喪失した証明書、身分証明書、マイナンバーがわかるもの(個人番号カード等)を窓口に持参してください。同時に国民年金の加入も必要です。
国民年金の加入手続き
20歳以上60歳未満の日本国民全員の加入が法律で定められている年金ですが、「厚生年金」と「国民年金」の二種類あります。厚生年金に加入していた会社員が退職した場合は14日以内に国民年金に切り替えましょう。
手続きに必要なものは、退職日が証明できる書類、年金手帳、印鑑、身分証明書(運転免許証等)です。
この様に、会社を辞めて引っ越しし、ひと段落したと思いきや今まで給料から天引きされていた社会保険料の存在を忘れていたので、いざ引っ越しが完了したと思っていてもやることが山積みでした。
国民健康保険の支払いもまとめて通知がきますし、国民年金の支払い通知もすぐに自宅に届きます。筆者は追い打ちをかけるように住民税の支払いの通知もきて火の車だったので、国民健康保険を後回しにしました…
国民健康保険はお住まいの地域によっては転入前で新しく引っ越した町で前年の収入がないので、最低限の支払い金額で済む場合があります。
これは各地方自治体と年齢によって異なりますので、役所に引っ越しの手続きに行く際は窓口の担当の方に支払いが多くて困っている等、相談することでなんとかなることもあります。(筆者も実際支払い額が軽減されました)
役所もこんな情報を大々的に公表しているわけではないので、何事も事前に電話や窓口で相談することで少しでも負担が軽減されることもあります。
筆者のように何も知らず、後々手続きや支払いに追われないように参考になればと思います。
地方から東京へ移住して良かった事
大変自分勝手に思う方もいるとは思いますが、守るものもなければ失うものもない当時20歳の私の決断は今でも後悔はないですし、何が正解かなんてわからないですが正しかったと思います。
東京に引っ越して三年目になりますが、色んな人の話を聞いて夢があるなと思うこともありますし、色んな人がいるなと思います。人と話すのが以前より好きになり、今までだと考えられないくらい社交的になった自分がいて毎日とても楽しいです。
別れあれば出会いもあるように、東京に来てからの出会いが沢山あり人脈やコミュニティーを作ることもできるのが東京なんだと思うことがあります。
今まで自分は都会生まれの都会育ちだし、そんなに東京に対して大きな期待と憧れは強くなかったのですが、東京に来て自分は井の中の蛙だったと思いましたし、魅了されました。
果たして脱サラ移住をして、地元から離れたのが正しかったかは私にもわかりませんが、今言えることは毎日ワクワクで刺激的な毎日を過ごしています。
色んな人と出会える東京、そんな東京で出会いできた友達と古き私の相棒と大好きなタイ、バンコクに4度目の渡航を果たすことができました。