認知症の診断は何科でするの?基準や方法も知っておきたい!

自分や親の認知症が気になる、でも病院は何科に行ったらいいのだろうという疑問について答えをまとめました。

実は、認知症の診断と言っても、いろいろな方法があり、何科を受診するかによっても、結果が変わってくるようです。

最適な病院を選ぶための情報をお伝えしていきます。

認知症の診断はどこで?病院の何科を受診するのか

認知症の診断や検査は、神経内科・精神科・心療内科・脳外科といったところで受診するのが一般的です。

しかし、そのような病院でも認知症に詳しいかどうか、専門的に取り組んでいるかどうかは別問題です。

病院の情報は、同じく病院が持っているということで、まずは普段からかかりつけの内科などの医師に相談して、認知症に詳しい病院等を紹介してもらうのも一つの確実な方法です。

また「認知症科」という科は存在しませんが、「老年科」や「もの忘れ外来」などを設置している病院もあります。このような病院は認知症の診断に関しても十分に対応できる体制があることでしょう。

もう一つ病院を探す際のポイントとして、認知症専門医がいるかどうかという点も確認するとよいでしょう。

認知症専門医は日本認知症学会・日本老年精神医学会が認定する医師で、認知症診断のスペシャリストですから、早期発見するためには最適な専門家です。

認知症専門医は、公益社団法人日本老年精神医学会のホームページより検索できますが、厚生労働省が全国約250カ所に設置している 「認知症疾患医療センター」にも在籍しています。

認知症疾患医療センターには、地域ごとの認知症診療の中核施設と位置付けられていますから、お近くにあれば相談するのに最もふさわしい機関といえるでしょう。

自分で情報を見つけるのが難しい場合には、市町村役場の高齢者や介護保険窓口に相談したり、地域包括支援センターに相談するのも良い方法です。

認知症の診断方法と診断基準について

認知症は症状だけをみて診断されるものだとイメージしている方も多いようです。

しかし、最近ではほとんどMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)やCT(コンピュータ断層装置)などで脳の委縮度合いを調べるなど、画像によって厳密に診断することが可能となっています。

逆に、問診や症状のみで認知症と診断されたとしても、患者本人の伝え方や体調に左右されたり、医師の技量によって結果が異なることがあるので、正確性に疑問が生じることがあるかもしれません。

それで、正確な診断を求めるのであれば、脳の画像検査機器による検査体制が整っている病院を受診したり、紹介してもらうとよいでしょう。

前述の認知症疾患医療センターには、そのような体制が備え付けられています。全国の認知症疾患医療センター一覧はこちら

認知症診断のガイドラインとは?

複雑でいろいろと診断方法のある認知症ですが、認知症診断のためのガイドラインが存在し、その中で診断基準や治療等についてもしっかりとまとめられています。

そのガイドラインは「認知症疾患治療ガイドライン」と呼ばれ、日本神経学会・日本神経治療学会・日本精神神経学会・日本認知症学会・日本老年医学会・日本老年精神医学会の6つの学会が合同で作成しています。

最新のガイドラインは2017年版となっており、こちらのサイトより誰でも閲覧・ダウンロードできます。

認知症の診断基準であるDSM5とは?

DSM5は、「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」のことを言います。アメリカ精神医学会により、2013年に出版されました。

世界的に広く用いられている精神疾患の診断基準であり、認知症の診断基準に関しては、以下のように定められています。

A.1つ以上の認知領域(複雑性注意、遂行機能、学習と記憶、言語、知覚-運動、社会的認知)において過去の水準から明らかな認知の低下を来しているという以下に基づく証拠がある。
1) 本人、本人を良く知る情報提供者、もしくは臨床医による認知機能の明らかな低下があるという懸念。
2) できれば標準化された神経心理学的検査で記録される形で、それが無い場合は他の定量化された臨床的評価によって確認された認知機能の明らかな障害。
B.毎日の活動において認知機能障害が自立性を阻害している(例:請求書の支払いや服薬管理など日常生活における複雑な操作的活動に援助を要する)。
C.認知機能障害はせん妄の経過中にのみ起こるものではない。
D.認知機能障害は他の精神疾患ではうまく説明されない(例:うつ病、統合失調症)。

認知症診断の検査で使われるMRIやCTの意味

認知症の画像診断で使われるMRIやCTは、脳の形を調べるために使われます。

特にMRIで検査すると、アルツハイマー型認知症の初期では、脳全体の目立った委縮はないものの、海馬に委縮がみられます。

画像診断のための検査には他にもSPECT検査がありますが、こちらは脳の血流を調べるための検査となっています。

認知症診断のためのテストの種類

認知症で画像による診断以外に比較的簡易に行えるテスト形式の診断があります。

これは、医師の質問に対して答えるというもので、認知症発見のためのスクリーニング検査(疾患の疑いのある者を発見することを目的に行う検査)として利用されます。

現在、認知症診断のためのテストの主なものとして以下のようなものがあります。

  1. 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
  2. Mini-Cog
  3. MoCA
  4. 地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート(DASC-21)
  5. ミニメンタルステート検査(MMSE)
  6. ABC認知症スケール(ABC-DS)

ABC認知症スケール(ABC-DS)とは?

ABC認知症スケールは、認知症の重症度を評価するため目的で開発された診断基準です。

香川大学精神神経医学講座中村祐教授らにより2015年より研究がなされ、現在は公益財団法人神戸医療産業都市推進機構により商標登録されています。

ABC認知症スケールは、13の質問項目からなる簡便で短時間に実施できる評価方法で、検査の所要期間は約10分です。

約1300例の臨床研究により、アルツハイマー型認知症の診断や治療のための有益な指標となることが確認されています。

評価者への特別なトレーニングや資格なども不要なため、医師以外でも実施できる可能性があり、今後一般的に広く利用されていくと予想されます。

尚、質問の中には、認知症発症以前の状況を把握しているかという点や、生活歴、介護施設の運営方針などにより点数が異なってくるケースも想定され、今後の課題として指摘する意見もあるようです。

認知症診断のためのアプリ

スマホのアプリにも簡易に認知症テストのできるものがあります。

スマホのアプリなら、まずは自分で気軽にチェックしたり、家族にテストを勧める際にも活用しやすいでしょう。

アンドロイド対応のスマホのアプリとしては以下のようなものがあります。

認知症診断テスト

iOS対応のスマホでは以下のアプリがあります。

認知症セルフ診断

認知症テスト Moffワスレナグサ

認知症診断の費用はいくらくらいかかるの?

認知症診断のための検査費用は、どのような検査を選択するかによって大きく異なります。

長谷川式認知症スケールなど、スクリーニング検査は比較的安く受けられますが、MRIなどの画像検査は比較的高くなります。

金額の目安としては、安い検査で数千円、画像検査などになると数万円となります。