医療費控除の提出先と期限、領収書の添付について。PET検査は含まれる?

確定申告の時期に気になる医療費控除ですが、提出先や領収書をなくしたらどうなるのか?など疑問が起きることもあります。そのような疑問の答えをまとめてみましたのでご参考にしてください。

医療費控除の提出先や提出期限について

医療費控除の提出に関して

確定申告の時期が近付いてくると、必要書類を用意しなければならないと思いますが、医療費控除を受けるためには書類を添付する必要があります。

それは、加入している健康保険の機関から送られてくる「医療費のお知らせ(医療通知書)」や、各医療機関を受診した際、会計時に発行される領収書です。

これらは、申告する人と、その申告者と生計を一にする配偶者や親族が「一年間に支払った医療費の明細書」のことを言い、添付する必要があります。

ちなみに平成31年度(令和元年度)の確定申告をする場合は、平成31年1月1日分から令和元年12月31日分までが対象となります。

それではこの書類はいつまでに、どこに提出したら良いか説明していきます。

医療費控除の提出先は「納税地」の税務署

医療費控除の領収書等を含む確定申告書類は、自身の居住地を管轄する税務署に提出することになります。自分の地域を管轄している税務署が知りたい場合は、国税庁のホームページで検索することが出来ますので、事前に確認しておきましょう。

しかし、例えば確定申告の期間に引っ越した場合はどうでしょうか。「前年の収入を受け取ったのは引っ越し前の住所なので、そこを管轄する税務署に提出する」と考える方もいるかもしれません。ですがこの場合は、引っ越し後の住所を管轄する税務署に提出すれば良いです。

複雑で分からない場合は、引っ越し前や引っ越し後に市役所などに行く機会があると思いますので、予め確認しておくと良いでしょう。

提出期限は大体毎年3月15日!※特例あり

用意した書類一式は、提出期限が定められていますので、提出期限内に税務署に持ち込み又は送付する必要があります。

例年で言えば提出期限は毎年3月15日ですが、例えば3月15日が土日だった場合には、次に迎える月曜日が提出期限になります。例えば令和2年の3月15日は日曜日でしたので提出期限は3月16日の月曜日になるというわけです。

ところが特例もあります。令和2年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の措置が取られたため、4月16日まで期限延長となりました。

このように大体は3月15日ですが、その年によって変わることもありますので、確定申告を控えている方は、国税庁のホームページをこまめにチェックしておくと良いでしょう。

申告期限間近に動き出していては必要書類を十分に集められず受けられる控除も受けられなかった、というのはよくある話です。

病院から帰ったら領収書はすぐに仕舞えるよう、保管場所を決めるなどして申告時期に焦らないようにしておきましょう。

医療費控除の領収書はコピーで大丈夫?なくしたら?

皆さんは確定申告の際、医療費控除を受けるために各医療機関で会計時に発行された「領収書」を提出するかと思います。

この領収書は原則として、原本を提出する必要があります。コピーしたものを提出すると最悪の場合、不正とみなされ確定申告書類を受理してもらえないこともありますので注意してください。

それでは、領収書を紛失してしまった場合はどうしたら良いでしょうか。この記事ではそんな疑問を解消すべく、考えていきたいと思います。

「医療費のお知らせ(医療通知書)」に記載されている場合がある!

加入している健康保険の機関から送られてくる「医療費のお知らせ(医療通知書)」は、受診の際に健康保険を使用した場合、記録として残り、年に何回か(もしくは年に1回)通知がくる場合があります。

そこに記載されている内容は各医療機関が発行する領収書と同じものですので、こちらを提出すれば良いでしょう。

ただし、健康保険を使用しないで受診した場合には記録されませんのでご注意ください。

領収書を再発行してもらおう!最終手段は「家計簿」

医療費のお知らせに載っていないものについては、受診した病院に連絡を取り、再発行が可能か確認するようにしましょう。ただしここで、不正防止などの観点から領収書の再発行を拒否する病院もあるとのこと。代わりになる書類(領収額証明書など)を発行してもらえないか確認しましょう。

病院側から書類を発行してもらえなかった場合は、自身でなんとかするほかありません。家計簿などを作り、そこに「いつ・どの医療機関で・誰が受診し・いくら支払ったか」という点を記して申告書類と提出すれば、控除を受けられる可能性があります。

家計簿を作る際には、紛失時のみを記載しても信憑性が薄く判断材料としては弱いため、手間はかかりますが1年分の支出明細を記すことでより信憑性のあるものとなるでしょう。

金額が低い医療費については諦めも肝心

例えば、数万円かかった医療費については、控除額に大きく影響しますが、数百円から数千円であれば、あまり影響しないという場合もあります。

せっかく手間をかけて入手したものがあまり必要がなかったのでは骨折り損ですよね。「この金額ではどうだろう?」と思った場合は、税務署に相談してみると良いでしょう。

病院を受診するわけですから体調が優れず、領収書なんて二の次・・・ということもあるかもしれません。ですので、日頃から保管する場所を決めて明細書を取っておく習慣を付けておきましょう。

医療費控除でPET検査も含めることができるか?

皆さんは確定申告時期が近付いてくると、当然医療費控除のことも考え、領収書などの整理を始めると思います。

この各医療機関から発行された領収書を確認している中で、「これは医療費控除の対象になるのだろうか?」と思った領収書はありませんか?

例えば「PET検査」です。PET検査とは、簡単に言うとがんを調べるための検査です。がん検査と聞くだけで医療費も高額になりそうなイメージが湧きますよね。

実際、この検査は健康診断目的で健康な人が受けた場合、全額自己負担となり、その費用は約10万円かかると言われているのです!是非とも医療費控除を受けるために領収書を提出したいですよね。

では、果たして医療費控除の対象となるのか、考えていきたいと思います。

・人間ドックや健康診断等は原則対象にならない※例外あり

まず知っておきたいのは、人間ドック・健康診断、インフルエンザなどの予防接種は原則医療費控除の対象にはならないということです。

これは、医療費控除の対象となるのは「病気の治療を行ったもの」と定められているため、人間ドック・健康診断は「検査」、予防接種は「予防のため」であり、「治療」ではないからです。

ところが、控除の対象になる例があります。それは、健康診断などで重大な病気が発見され、継続的に診断や治療を行う必要があると認められ、実際に治療を継続的に行っている場合です。

このとき一番初めに受けた人間ドックや健康診断というのは、「治療に先立って行われた診察」と考えることが出来るため、控除の対象になると言われています。

このように、控除の対象になることもあるということを知っておいてください。

結局PET検査は控除対象になるの?

では、これまでを踏まえて、問題のPET検査を見てみましょう。PET検査は人間ドックと同じ扱いになります。

ですので、検査を受けたところで異常が見つからなかったり、見つかっても治療を続けない場合は控除の対象にはなりません。控除対象と認められるためには、がんが見つかり且つ治療を続けている、という条件を満たす必要があるというわけです。

検査は医療費の控除対象とはならないから、と諦めてはいませんか?高額の医療費ですので、万が一対象となった場合、大きな損失となります。

もし自身で判断がつかない場合は、受診した医療機関や税務署に相談するなどし、失敗しないようにしましょう。